プラスアートのコラムについて
プラスアートのコラムでは、アートをもっと身近に感じてもらえるような記事をお届けしています。 季節ごとにおすすめの作家を紹介したり、アート初心者の方にもわかりやすく解説したりと、アートの魅力を多角的に発信。 日常の中に自然とアートが寄り添うような、そんなヒントを見つけていただけるような内容を目指しています。 ぜひ、アートの世界を気軽に楽しんでください。
目次
はじめに
美術館を歩いていると、金色に輝く背景に描かれた神秘的な人物たち、苦しみや喜びが表現された劇的な場面、不思議な生き物や象徴が散りばめられた絵…。
それらは「 宗教画 」と呼ばれる特別な絵画です!
「 難しそう 」「 自分には関係ない 」と思っていませんか?
実は宗教画は、昔の人々の思いや物語がつまった宝箱のようなもの。
この記事を読めば、次に美術館で宗教画を見たとき、「おっ、これはあの話だ!」と楽しめるようになりますよ!
宗教画って何?超シンプル解説!
宗教画とは、簡単に言うと「 宗教の物語や教えを絵にしたもの 」です。
今でいう絵本や映画のような役割を果たしていました。
昔は多くの人が 文字を読めなかった ので、 絵で聖書や仏教の物語を伝える ことが大切だったんです。
また、 祈りの対象 として、人々の信仰心を深めるためにも描かれていました。
世界には様々な宗教があり、それぞれ独自の宗教画があります!
宗教を信じていなくても、これらの絵には人間の喜び、悲しみ、愛、勇気など普遍的なテーマが描かれているので、誰でも感動できる要素がたくさんあります!
宗教画を読み解くための3つのポイント
ポイント1:「誰が描かれているの?」〜主な登場人物ガイド
宗教画に描かれる人物は、特徴的な「 アイテム 」や「 ポーズ 」で見分けることができます。
キリスト教美術の例をいくつか紹介します!
イエス・キリスト
ディエゴ・ベラスケス「十字架につけられたキリスト」1632年
頭の周りに光輪(ハロー)があり、十字架と一緒に描かれることが多い
聖母マリア
ラファエロ「大公の聖母」1506年
青い衣装を着ていることが多く、幼いイエスを抱いている姿がよく見られる
聖ペテロ
ピーテル・パウル・ルーベンス「使徒ペテロ」1612年
天国の門の鍵と言われる鍵を持っている
ポイント2:「何が起きているの?」〜よく描かれる物語
宗教画には、何度も繰り返し描かれる有名な場面があります!
最後の晩餐
レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」1495年
シモン・フョードコフ 「最後の晩餐」1685年
アンドレア・デル・カスターニョ 「最後の晩餐」 1447-1450年
「最後の晩餐」は、新約聖書の中に記された一場面であり、イエスが十字架にかけられる前夜、12人の弟子たちとともに夕食をとった出来事のことです。
最後という言葉がつけられているのはこの晩餐の後、イエスは磔となり一度死ぬことを意味しているためです。
受胎告知
ドゥッチョ「受胎告知」《マエスタ(荘厳の聖母)》部分 1308-1311年頃
シモーネ・マルティーニ「聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知」 1333年頃
フラ・アンジェリコ 「受胎告知」1435年
「受胎告知」とは、新約聖書に記されているエピソードで、大天使ガブリエルがマリアに「神の子を身ごもる」と告げた出来事のことです。
ポイント3:「その色や物には意味があるの?」〜初心者でもわかる象徴の見方
宗教画は「象徴」がたくさんあります。現代の絵文字みたいなものなのです!
色の象徴
- 青色:神聖さ、天国(マリアの衣は青いことが多い)
- 金色:永遠、神の光(背景に使われる)
- 赤色:キリストの血、殉教、愛
動物の象徴
- 鳩:聖霊、平和
- 子羊:イエス・キリスト(「神の子羊」と呼ばれる)
- 孔雀:不死、永遠の命
植物の象徴
- ユリ:純潔(マリアと一緒に描かれることが多い)
- りんご:原罪、誘惑
- ぶどう:イエスの血、聖体
これらを少し覚えておくと、「なぜこの絵にこんなものが描かれているの?」という疑問が解決できます!
時代別・超かんたん宗教画の見分け方
宗教画の時代によって、描き方は大きく違います。簡単な見分け方をご紹介!
ビザンチン美術(5〜15世紀)
- 特徴:金色の背景、平面的な人物、大きな目
- 例えるなら:古い漫画のような、様式化された絵
- 見どころ:神秘的な雰囲気と荘厳さ
ルネサンス美術(14〜16世紀)
- 特徴:より自然な人物、立体感、美しい風景背景
- 例えるなら:写真のようにリアルになってきた絵
- 見どころ:人間らしい表情や姿勢、遠近法の使用
バロック美術(17〜18世紀)
- 特徴:劇的な明暗、動きのある構図、感情表現
- 例えるなら:ドラマチックな映画のワンシーン
- 見どころ:光と影の対比、迫力ある動き
世界の有名宗教画〜初心者必見の傑作たち〜
ミケランジェロ「天地創造」
制作年:1508年〜1512年
見られる場所:システィーナ礼拝堂(バチカン市国)
レンブラント・ファン・レイン「夜警」
制作年:1642年
見られる場所:オランダ・アムステルダム国立美術館
ヒエロニムス・ボス「快楽の園」
制作年:1500年頃
見られる場所:プラド美術館(スペイン)
宗教画の楽しみ方アイデア集
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宗教画をモチーフにした現代文化
宗教画の名画がファッションブランドのTシャツやバッグにデザインされているの、見たことありませんか? ルネサンスの天使や聖人たちが、今やおしゃれアイテムとして街を歩いているんです!
ぜひ好きな絵画がデザインされた商品をチェックしてみてください!
映画は「動く絵画」とも言われますが、特に宗教画はストーリーを伝えるために生まれたもの。
現代の映画監督たちも、構図や光の使い方のヒントを古い宗教画から学んでいるんです!
映画ってまるで動く絵画!?巨匠たちも学んだ、絵画が映画に与えたヒミツ
まとめ
宗教画は決して「古くさい」ものではなく、人間の喜び、悲しみ、愛、信仰といった普遍的なテーマを描いた「時代を超えるストーリー」です。
美術館で宗教画を見かけたら、ぜひこの記事で紹介したポイントを思い出して、「誰が描かれているのか」「どんなストーリーなのか」「どんな象徴が隠されているのか」を探してみてください!
知れば知るほど、宗教画の見方は深まり、その美しさや物語性にもっと感動できるようになります。
あなたも今日から、宗教画の世界を楽しむ第一歩を踏み出してみませんか?
あなたの空間に、アートをプラスしてみませんか?
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